iot

ASUSとインテルが共同でモバイル医療カートを開発、医療従事者の効率と安全性をサポート

2021/04/14

KEY POINTS

  • ASUSインテリジェント遠隔医療用カート: 高性能、長寿命バッテリー、豊富なI/Oサポートで、新世代のナースステーションを支援
  • 医療現場での実績: 隔離病棟に入院している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者を治療する医師を、クラウド接続された医療用カートが支援
  • 業界最強のコラボレーション: クラウド管理プラットフォームを提供するVSeeの技術と連携し、インテル Core プロセッサーが圧倒的なパフォーマンスを実現

2021年4月14日、台北市(台湾)

2020年初頭に世界を突然襲った新型コロナウイルス感染症は、国際社会にかつてない難題をもたらしました。この状況に対応するため、医療業界ではパンデミックに立ち向かう医療従事者を支援するための取り組みを強化しています。その中でも、モビリティをサポートする遠隔医療ソリューションは、重点分野となっています。ASUS、インテル®、VSeeの3社は、台北市立聯合病院和平幼婦院区(Taipei City Hospital, Heping Fuyou Branch)と共同で、インテリジェント・モバイル・メディカル・プロジェクトを実施しました。このプロジェクトでは、医師や看護師が隔離病棟の入院患者と対話し、症状を診断し、サポートを行うことができます。また、患者の家族は患者とバーチャルでコミュニケーションをとることができ、ウイルスの影響を受けるリスクを最小限に抑えることができます。

台北市立聯合病院和平幼婦院区の広報担当者は次のように述べています。「この度、ASUSの遠隔医療用カートを初めて導入することになり、大変嬉しく思っております。この医療用カートは、隔離病棟の患者の診断やケアをする医療スタッフを支援するだけでなく、患者の家族が患者とビデオでコミュニケーションをとることもでき、感染症のリスクを軽減することができます。」

ASUSのシニア・バイス・プレジデントであるジャッキー・シュー(Jackie Hsu)は、次のように述べています。「新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、遠隔医療は世界が進むにつれて医療提供の重要な原動力の一つとなるでしょう。ASUSの最新の遠隔医療用カートがあれば、医師、看護師、その他の医療従事者は、既存の医療現場や遠隔地のいずれにおいても、安全で効率的かつ強力な診断・モニタリング・サポートツールを使用することができます。」

インテルの上席副社長 兼 セールス・マーケティング事業部長であるミッシェル・ジョンソン・ホルタス(Michelle Johnston Holthaus)氏は次のように述べています。「インテルは、ASUSと和平病院の遠隔医療プロジェクトに協力できることを非常に誇りに思っています。今回のパンデミックは、テクノロジーが世界をつなぎ、生活を豊かにするために不可欠な役割を果たすことを、これまで以上に証明しました。今回のプロジェクトは、過去30年にわたるインテルとASUSのコラボレーションの新たな一例となることでしょう。この困難な時期に、支援を必要としている人たちのためにお互い協力できることは素晴らしいことです」

IoTデバイスにとって最高のCPU・GPU性能

64-bit対応Armv8アーキテクチャであるRockchip RK3399を備えたArm社製 6コア System on a chip (SoC)を搭載したTinker Board 2およびTinker Board 2Sは、一般的なSBCに比べて性能が大幅に向上しました。

新しいTinker Board 2シリーズは、1つのSoCに2つの全く異なるプロセッサーを組み合わせたヘテロジニアス プロセッシング アーキテクチャであるArm big.LITTLE™も備えています。big.LITTLEソフトウェアはタスク配分を自動化し、各処理に適切なCPUコアを確保します。これにより、Tinker Board 2およびTinker Board 2Sは初代Tinker Boardと比較して1.5倍も性能が向上し、多くの競合SBCと比較して驚異的な処理能力を発揮します。

Tinker Board 2はArmのMidgardアーキテクチャで構築された最高性能モデルであるマルチコアGPU Mali-T860を搭載しており、本格的なグラフィックgruntに対応します。特に、Mali-T860は複雑な画像のユースケース向けに設計されており、OpenGL ES 3.0/3.1、OpenVG 1.1、OpenCL、その他の次世代および既存の2D/3D画像用アプリケーションのフレームワークをフルサポートします。初代Tinker Boardと比較すると、Tinker Board 2のMali-T860のGPUはグラフィック性能が最大28%向上しました。

診断・モニタリング・サポートのワンストップヘルスケアソリューション

モバイル技術は、以前から医療分野で活用されてきました。例えば、移動式の医療用カートは、現在、病院でよく見られる一般的な機器です。これらの医療用カートは、傷口の処置や血圧測定などの簡単な処置には適していますが、隔離病棟やへき地での医療ニーズを満たすには不十分です。これに対し、ASUSのモバイル型インテリジェント遠隔医療用カートは、医療従事者に最適な遠隔医療ソリューションを提供します。

2020年10月より、和平病院の医師や看護師は、遠隔システムと病室に設置されたスマート遠隔医療用カートをつないで、専用の陰圧隔離室にいる患者に対してさまざまな医療サービスを提供しています。このシステムでは、家族が受付のコンピューター画面から隔離中の患者の様子を見ることもできます。また、病院だけでなく、遠隔医療用カートを患者の自宅に持っていくことで、実際に訪問しなくとも、医師が合法的に診断や薬の処方を行うことができるようになりました。

このソリューションは、ASUS、インテル、VSeeが共同で取り組んだ結果であり、高性能コンピューティング、豊富なI/Oサポート、優れたアーキテクチャのクラウドプラットフォームを統合することで、医療従事者があらゆる種類の遠隔医療のニーズに効率的に対処できることを、わかりやすい実例として示しています。

信頼のASUS製ハードウェアで新世代のモバイルナースステーションを支援

遠隔医療用カートには、ASUS製メディカルコンピューター、ネットワーク通信機器、長寿命バッテリー、多彩なI/Oインターフェースが搭載されています。ファンレス設計、広範な動作温度範囲を備えた専用のASUSメディカルコンピューターにより、システムの信頼性が大幅に向上します。

本製品は、アルコールで簡単に消毒できるタッチスクリーンを採用しており、細菌やバクテリアが繁殖するようなキーボードはありません。さらに、高解像度のカメラを搭載し、さまざまな角度から画像を撮影することで、医師の診断を支援します。また、豊富なI/Oインターフェースにより、さまざまな医療機器との接続が可能です。

一般的に、競合他社のナースステーションにはメーカーが異なる複数の機器が設置されています。これらの機器をすべて統合するのは困難な作業であり、看護師の効率的な仕事の妨げにもなっています。USB、Wi-Fi、Bluetooth、RFIDなどの幅広い通信規格に対応したASUSの遠隔医療用カートは、さまざまなメーカーの医療機器と簡単に接続でき、医療業務とは関係のない煩わしい作業から解放されます。

インテルとの提携により、高速・高効率のヘルスケアを実現

業界屈指のパフォーマンスを提供するインテル Core™ プロセッサーは、ASUSの遠隔医療用カートを支える重要な役割を果たしています。包括的なポートフォリオを提供するインテルの製品や開発ツールは、長年にわたり、消費者、企業、学術機関など、さまざまな業種で幅広く利用されています。

インテル Coreプロセッサーを搭載したASUSの遠隔医療用カートは、医療業界のあらゆるニーズに応えます。医療システムでは、高解像度の画像やストリーミングデータの高速処理が求められるため、大量の画像データをリアルタイムで処理できる高性能なCPUが必要となります。

さらに、ASUSの遠隔医療用カートは、少なくとも8時間の連続稼働を維持するために、長寿命バッテリーを必要とします。高性能なコンピューティングと優れた電力効率を特徴とするインテル Coreプロセッサーは、ASUSの遠隔医療用カートに最適です。また、患者の医療データの厳格な機密保持のために、ハードウェアからソフトウェアに至るまでデータを暗号化するAES技術も、この医療ソリューションの重要なポイントとなっています。

VSeeとの提携により、信頼性の高いクラウドベースの医療サービスを実現

ソフトウェアに関しては、ASUSはインテルのソフトウェアパートナーであるVSeeと協力して、モバイル医療用カート用のクラウド管理プラットフォームを開発しました。VSeeは、アプリケーションの垂直市場で長年の経験を積んでおり、さまざまな業界向けに複数の目的別クラウド管理プラットフォームを立ち上げています。

特に、VSeeとASUSの共同開発による遠隔医療のためのSaaSクラウドプラットフォームは、最大10人まで同時ログインでき、さまざまな地域の医師がオンラインで診察を行うことができます。また、患者の家族もオンラインセッションに参加することができます。セッション終了後には、ASUSモバイル医療用カートが自動的にデータをクラウド管理プラットフォームにアップロードします。レポートも自動作成され、医師や看護師の負担を軽減します。

実際の医療現場での成功例

ASUSモバイル医療用カートは、ASUS、インテル、VSeeの提携により、和平病院に設置されました。新型コロナウイルス感染症に直面している同病院は、パンデミック対策を強化するために、継続的に最新技術を導入しています。2020年7月、ASUSと同病院のチームは、隔離病棟で必要なものについて情報交換を始めました。またASUSは、インテルとVSeeにも協力を求め、理想的な遠隔医療ソリューションを構築するために集中的な共同開発をスタートしました。現在、8台のモバイルインテリジェント医療用カートが同病院の隔離病棟と受付に設置されています。

ASUS、インテル、VSeeがサポートする遠隔医療の未来

ASUSは、ハイテク分野での数十年にわたる開発経験とさまざまなアプリケーション分野への深淵な理解を活用し、モバイル医療用カートのような堅ろうな技術を必要とするソリューションを生み出しています。ASUSのハードウェアをベースに、インテルのプロセッサーとVSeeのSaaSクラウドプラットフォームの強みを融合させた本製品は、医療従事者のあらゆるニーズに応えます。

ASUSは、この技術を隔離病棟から遠隔地へと拡大させ、医師によるオンライン医療サービスの実現や現場での医療アクセス改善をサポートする、あらゆる場所で人々の健康を支援するテクノロジーの提供を目指しています。

シェア