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店舗運営に自動化されたインテリジェンスを導入

競争が激しさを増す中で、食品小売業はかつてないプレッシャーに直面しています。高品質な商品を常に十分に提供するためには、在庫量を定期的にチェックする必要があり、担当のスタッフを配置しなければなりません。また、賞味期限切れが近い生鮮品を値下げして、買い物客の購買意欲を喚起する必要もあります。それに関わるスタッフも振り分けなければなりません。

ASUS IoTと同社のパートナーであるMacnica DHWは、スーパーマーケットチェーンが店舗を最新化させてこれまで時間のかかっていた手順を自動化する高度なソリューションを共同開発しました。この結果、以下のことが可能になります。

  • 務効率の向上
  • 対応の迅速化
  • 無駄の削減
  • 収益性の向上
  • 十分な情報に基づく意思決定

Smart Replenishment Solution(スマート・リプレニッシュメント・ソリューション)

スーパーマーケットの補充能力の有効性は、収益に直接影響します。果物や野菜、菓子パンやケーキといったバーコードのない食品は日持ちがしないため、高精度の管理メカニズムが求められます。商品の補充が遅すぎると、需要に見合った提供をすることができず、買い物客のフラストレーションや、販売機会の損失につながります。逆に、補充が早すぎると商品が余ってしまい、劣化した商品が陳列棚に残され、買い物客の購買意欲を削いでしまいます。いずれの場合も、スーパーマーケットチェーンのブランド評価を損ない、その結果、売上高の減少や顧客ロイヤルティの低下を招いてしまう恐れがあります。

さまざまな商品の数量を定期的に把握するためには人的資源を大量に投入する必要があり、運用コストがかさみ、他の重要な業務への取り組みがおろそかになってしまいます。また、スタッフが買い物客対応に追われている場合、特定の商品が売れてしまっても気付かず、補充すべき時に補充されないことになります。さらには、手作業の対応となると偏りが出て、行き届かない場合も出てきます。このような多くの問題を回避するために、小売業者はデータに基づいて意思決定したいと望んでいます。そこで、お役に立てるのが、ASUS IoTです。

ASUS IoTとMacnica DHWが共同開発したSmart Replenishment Solutionは、独自の人工知能(AI)テクノロジにより、食品小売業者は店舗内でバーコードのない生鮮食品を補充するための自動化戦略を導入できるようになります。年中休みなく稼働し、さまざまな商品や農産物の在庫レベルの増減に対応できるよう常に可視化し、いつでも最適な在庫レベルを保つことができます。手作業による検品も不要になるため、スタッフは他の受け持ち業務に専念することができます。

データ取得とAIアクセラレータのハードウェアを使用し、加えてASUS IoTのAI分析を用いることで、店舗管理者は商品の補充を推測で行うのではなく、確かなデータに基づいて行うことができるようになりました。このテクノロジは、ASUS AIoT Allianceパートナープログラムの重要なメンバーで、Smart Replenishment Solutionの共同開発に携わったソフトウェアスペシャリスト、Macnica DHWが提供するユーザーインターフェイス(UI)とダッシュボード機能によって補完されています。それにより、完全な拡張性を持つエンドツーエンドプラットフォームとなり、どのような店舗環境にも簡単に導入でき、顧客の具体的な要望に対しても短時間で設定できます。

UIは直感的で、店舗管理者は在庫監視カメラユニットごとに複数の対象範囲を定義することができます。対象範囲は、特定の商品に関連付けられます。コンテナ内にレベルセンサーを設置するのではなく、コンピュータビジョンを活用することで、より正確な商品数のデータが得られます。大きさや1日の平均販売量などのパラメータに基づき、バーコードのない商品のコンテナにそれぞれの補充レベルの基準を設定することができます。例えば、スイカの補充基準は、バナナとは全く違います。大きな商品はそれほど頻繁に売れるものではなく、並べてある個数が少なくてもコンテナは一杯になります。店舗管理者は、状況の変化に応じて、コンテナの基準を簡単に調整することができます。

ASUS IoTが開発し、Macnica DHWが統合したきめ細かい画像認識とディープラーニングAIアルゴリズムにより、定期的に画像を撮影することで、商品レベルをほぼリアルタイムで把握することができます。システムの付属アプリを使用すれば、特定の商品の補充が必要になると、店舗スタッフのスマートフォンやPDAにアラートが表示されます。例えば、コンテナ内の果物の在庫レベルがあらかじめ設定された基準を下回ると、アプリにアラートが表示される仕組みです。アラートが表示されたことを確認したスタッフがその果物をコンテナに補充するというわけです。商品が補充されるまでにかかった時間は、UIの表示で確認することができます。

システムの精度を高めるため、対象範囲の前に買い物客がいて、撮影の障害になっている場合は、画像が利用できないようになっています。これは、常にGDPR(一般データ保護規則)のプライバシーガイドラインを尊重し、買い物客の匿名性を保証していることも意味しています。さらに、注目すべきは、画像はローカルで処理されているため、完全に抽象化されていることです(つまり、リバースエンジニアリングによる不正な情報取得の恐れはありません)。

ASUS Smart Replenishment Solutionが新しい店舗に導入されると、店舗ごとに特有の設定で複数のサンプルによる動作確認が必要となります。それにより、店舗内の照明、コンテナの形状や位置など、それぞれの特徴が考慮されるようになります。この作業は、小売業者自身で行うこともできますし、システムインテグレータがお手伝いすることもできます。例えば、アジアやアフリカで人気のある野菜と、欧州や北米で人気のある野菜は全く違いますが、世界中の多様な商品に対応するようにAIを設定することができます。

ASUS Smart Replenishment Solutionに採用されているAIテクノロジにより、スーパーマーケットの運営を強化する大きな可能性があります。効率を高め、商品の品質を維持し、無駄を削減し、顧客体験を向上させ、同時に関連する人件費を抑え続けられます。また、調達責任者は、買い物客の購買行動をより深く理解することもできるようになります。生成されたダッシュボードを参照し、取得したデータを特定の外部要因に関連付けることで、それぞれの商品に対する販売パターンを確認することができます。それによって、消費者の需要の予測精度が高められ、より適正な商品の発注を行うことができます。より細かいデータ粒度にアクセスすることで、個々の店舗立地の正確な要件を確定したり、潜在的な傾向を明確にしたりすることができます。

AIを活用したASUS Smart Replenishment Solutionは、まさにターンキーであり、この先もずっと使い続けられるものです。導入が簡単なのはもちろん、運用開始後はシステムインテグレータによる最低限のメンテナンスを行うだけで済みます。新商品を店舗の在庫に追加することも可能で、システムもすぐにその商品に対応します。ユーザーインターフェイスとダッシュボードの要素は、それぞれ独自のスーパーマーケットチェーンの要望を完全に満たすようにカスタマイズすることができます(アプリケーションパラメータとビジュアルアイデンティティの両方に適合します)。

ハードウェアの詳細について

ハードウェアは今後も進化し続け、新たな要件が出現した際にはそれに対応できるよう調整されます。現在、ASUS Smart Replenishment Solutionのハードウェア基盤は産業用ベアボーンコンピュータEBE-4Uです。4Uのケースには、2.8GHzの第10世代インテル i9プロセッサー、高性能グラフィックプロセッシングユニット(GPU)、オンボードソリッドステートメモリおよびデータストレージ用3 x 3.5型フォーマットの大容量HDD、豊富なインターフェイスオプションが搭載されています。この堅牢なユニットは、Macnica DHWソフトウェアと直接組み合わせられますが、他のベンダのソフトウェアパッケージと組み合わせて、さまざまなアプリケーションシナリオに対応することも可能です。

電子棚ラベリングソリューション

補充プロセスの最新化と同時に、商品価格の迅速な変更も考慮すべき点です。改めてですが、ASUSのIoTアルゴリズムは、取得したデータを活用し、運営をより効率化して人的コストを最小限に抑えることができます。その結果、特定のコンテナに入っている商品を、品質が劣化し始める前の期日中に売り切る必要があると判断した場合、電子ペーパー価格ラベルを同時にアップデートし、どのような割引が適用されたかを表示させることができます。コンテナに異なる種類の商品を入れた場合、コンテナの説明表示を修正することも可能です。当社のパートナーであるMacnica DHWは、AIアルゴリズムによって値札を識別し、各値札と該当する商品を関連付けて、常に正しい価格を表示できるようにする自動化システムの設計を担当しました。

Macnica DHWについて

Macnica DHWは、日本最大、世界第5位の半導体販売企業である株式会社マクニカグループの南米における子会社です。 IoT、HPC、Alなど多様な市場において、ブラジルの半導体販売と大口顧客とのプロジェクト開発の分野で確固たる地位を築いています。 2020年以降、Macnica DHWは中南米における AlおよびHPC向けのインテルのセンター・オブ・エクセレンスです。

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