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組込みコンピュータで駅のデジタルサイネージを強化

Digital signage at rail stations displaying information as passengers board and alight trains.

デジタルサイネージとは、公共または私的な場所で、LCD、LED、プロジェクタなどのデジタルディスプレイを使用してマルチメディアコンテンツを配信することを指します。ポスター、看板、掲示板などの静止画が主流だった25~30年前、新たなデジタル技術が席巻し始めたとともに誕生しました。

コンテンツをリアルタイムで変更し、双方向性を高め、動画やアニメーション、ライブフィードなどマルチメディアの表示を実現し、パラダイムシフトをもたらしました。これらの新たな機能は、企業がより効果的にメッセージを訴求し、変化するニーズやプロモーションに迅速に対応することを可能にしました。

インターネットが普及し、ハードウェアが手頃な価格で購入でき、ソフトウェアソリューションが発展したことがデジタルサイネージの実現に寄与し、今では幅広い分野で使用されています。クラウドベースの管理、遠隔操作、スケジュール管理、ソーシャルメディアやデータ分析などのシステムとの統合などの機能を兼ね備えています。タッチスクリーンやセンサーによって双方向性が高まり、これまでにない魅力的な体験ができるようになりました。

企業が顧客とのコミュニケーションをより大規模に展開する中で、小売、サービス、医療、交通などさまざまな分野にデジタルサイネージは広がっていきました。さまざまな用途ごとにターゲットを絞ったリアルタイムのコンテンツ配信ができるため、従来のサイネージよりも優れたソリューションとなりました。


乗客体験の向上

駅で使用されるデジタルサイネージは、リアルタイムの情報を表示するだけでなく、広告にも利用されることで利用客の体験が向上し、潜在的な収益源の役割も果たします。デジタルサイネージが駅に導入されると、利用客とのコミュニケーションが向上し、業務の効率化も図られ、乗客満足度も高まる、といったメリットがあります。サイネージに表示される情報には、電車の時刻表、遅延情報、発着するホームの情報、緊急警報、ローカルニュースなどがあります。必要不可欠な情報が提供されるため、混乱なく人の流れをスムーズにし、混雑を緩和します。

正確な運行状況、遅延やホームの変更などの最新情報をリアルタイムで確認できるので、利用者の不安は軽減し、満足度が向上するのです。安全対策の面では、何らかの障害が発生した場合には、緊急メッセージや重要な案内を即座に表示することが可能です。

使用環境に適したハードウェア

ハードウェアで求められるのは、直射日光など屋外環境でも視認性を確保できる高輝度で耐候性のあるディスプレイです。コンテンツを処理してスムーズなグラフィックを表示するメディアプレイヤーと接続し、駅の制御システムと統合すれば、リアルタイムのアップデートが可能になります。メディアプレイヤーは、デジタルサイネージの頭脳となる組込みコンピューティングプラットフォームの一部といえるでしょう。信頼性の高い光ファイバー、LAN、インターネット接続は、リアルタイムでのコンテンツアップデートや遠隔管理、さらに緊急警報などの異なるシステムとの統合に不可欠です。

駅の環境は過酷です。人通りが絶えず、気温の変化も激しく、ほこりっぽいうえ、破壊行為の可能性すらあることを念頭に置くべきでしょう。ハードウェアには、こうした条件に耐え得るだけの頑丈さが求められます。可能な限り効率的に機能させるためには、通信が途絶することがないハードウェアの信頼性が極めて重要です。


低電力消費によりコストを削減

駅では多くのデジタルディスプレイが設置されるため、エネルギーコストの高騰につながる可能性があります。運用コストを削減するには、低電力消費を実現するソリューションが欠かせません。多くの企業が環境への取り組みを強化している今ではなおさら重要です。エネルギー効率に優れた組込みコンピューティングプラットフォームや、周囲の光量に応じて輝度を自動調整するシステムは、エネルギー消費の最小化を促します。さらに、信頼性の高い低電力消費デバイスはハードウェアの寿命を延ばし、高額なメンテナンスを頻繁に行うことなくシステムを安定的に稼働させることができます。

駅の混雑する環境下で安定したパフォーマンスを発揮し、コストを長期にわたって削減するためには、デジタルサイネージの長寿命化が不可欠です。導入後にハードウェアやソフトウェアをアップグレードできる機能を備えているため、進化するテクノロジに適応し、新しい機能に対応し、アップデートされた通信システムを継続して使用することができます。こうした柔軟性により、システムの寿命が延び、ダウンタイムが削減されるだけでなく、高額な費用がかかる交換を最小限に抑えるため、最新情報を効率的かつ継続的に提供することが可能になります。


安全なシステムの維持

駅に設置するデジタルサイネージでは、セキュリティが何より優先されます。乗客の安全や電車の運行に直結するリアルタイムの情報を提供しているためです。不正アクセスによって誤った情報が発信されれば、利用者を困惑させたり、安全上のリスクを誘発させたりするだけではなく、駅がパニック状態に陥る恐れもあります。また、広範なネットワークインフラに接続されていることが多いため、サイバー攻撃の標的となる危険性もあります。暗号化やアクセス制御などの強固なセキュリティプロトコルを取り入れることで、ハッキング、データ漏洩、システム改ざんを防止し、業務の完全性と公共の安全の両方に万全を期すことができます。


駅のデジタルサイネージ向けEBS-S100

EBS-S100 front view, 45 degrees

ASUS IoT EBS-S100は、堅牢なパフォーマンス、信頼性、さらに産業用に特化して設計された機能を備えており、駅のデジタルサイネージに最適な組込みコンピューティングプラットフォームです。このシステムは、東南アジアの主要な鉄道駅の旅客案内 システム(PIS)の中核として導入され、成功を収めています。EBS-S100は、重要な利点がいくつもあります。

ファンレス設計により、故障しやすい機械部品を減らし、耐久性を向上させています。この設計は、駅のようなほこりっぽく、人通りの激しい環境に最適です。頑丈な構造により、極端な温度や湿度、さらに振動など駅特有の環境下でも信頼性の高いパフォーマンスを発揮します。また、サイズも、デジタルサイネージシステムに無理なく組込むことができるほどコンパクトで、スペースをとりません。

前述の通り、特に複数のユニットを導入する場合、運用コストの削減には効率性が重要です。低電力設計のEBS-S100は、電気代に大きな影響を与えることなく、連続した稼働を可能にします。低電力のインテル Atom®プロセッサーをベースとしており、標準的な熱設計電力(TDP)は約12Wです。またメモリなどのコンポーネントを含むプラットフォーム全体の電力消費は40W以下です。その他の機能では、最大16GBの4.8GHz DDR5メモリ、USBおよびオーディオポート、デュアル10/100/1000-Mビット/秒イーサネットLAN、およびCOMポートに対応します。


AI/MLアシスト

EBS-S100のようなプラットフォームでは、人工知能(AI)と機械学習(ML)を使用して予測分析を行うことができます。まず、過去のデータとリアルタイムのデータを分析して電車の遅延や運休を予測し、システムが乗客に事前通知できるようにします。また、乗客の流れや行動を分析して、混雑していない構内のルートやホームを案内するなど、パーソナライズされた情報を提供することもできます。さらに、AIを活用すれば、時間帯、乗客の属性、または発生事象に応じてサイネージに表示する内容を最適化し、情報の関連性と有効性を向上させることができます。

接続については、HDMI、DisplayPort、イーサネットなど、さまざまなI/Oインターフェイスに対応しており、幅広い種類のディスプレイやネットワーク構成に適合しています。こうした汎用性は、電車の運行スケジュールデータベースや中央制御プラットフォームなどの既存のシステムにサイネージを統合する上で非常に重要です。

加えて、EBS-S100はハードウェアとソフトウェアの両方で幅広いアップグレードが可能で、新しいサイネージ技術、セキュリティプロトコル、将来のシステム拡張にも対応できます。EBS-S100のようなモジュール式のハードウェアプラットフォームを選択することで、開発者は技術の進歩に合わせてコンポーネントを簡単にアップグレードでき、システム全体を交換する必要がなくなります。

ASUS IoTを利用することで、さまざまなメリットが得られます。経験豊富な設計チームと協力することで、グローバルな事業展開の提案や、それに関わる販売前のコンサルティング、展開支援、販売後のサービスなどの全面的なカスタマーサポートを受けることができます。当社は幅広い製品ファミリを取りそろえており、アップグレードや拡張も簡単です。さらに、当社のソフトウェア開発キット(SDK)やAPIを使用すれば、開発者はAI処理やエッジコンピューティングなど、ハードウェアの機能を最大限に活用することができます。詳細については、当社までお問い合わせください。

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