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スマートストアにおけるAIソリューション用OpenVINOのアプリケーション

I. はじめに

インダストリー4.0の時代の今、小売業はデジタルトランスフォーメーションによって販売方法を大きく変化させています。言い換えれば、デジタルトランスフォーメーションは小売業におけるサービス型ビジネスの成功に貢献するバックボーンと言えます。そのため、多くの小売企業は、ビジネスを加速させ、顧客体験を向上させるために、新しい技術の採用に注力しています。この結果、データに基づくスマートリテールストアの管理と運営において、モノのインターネット(IoT)、ビッグデータ、とりわけ人工知能(AI)の多様なアプリケーションの登場によって、新たなトレンドが台頭しています。

ASUS IoT smart retail scenario contains AI application in supermarket, restaurant and ATM.

画像1:スマートストア

AIの分野では、小売企業は人数カウント、顔認識、感情表情の解析、買い物行動、物体認識などのスマートカメラアプリケーションを通じて、これまで店舗やPOS(販売時点情報管理) を訪れた顧客、または現在来店している顧客の鮮明なイメージを構築することができます。これは、解析、比較、評価、トレンドの変化を捉える能力の向上に役立ち、効果的なビジネス戦略を策定することができます。また、サービスプロセスを最適化し、顧客体験を向上させ、より頻繁で忠実な顧客を獲得することにつながります。解析システムの導入におけるもう一つの大きな課題は、運営に必要なコストと人材です。TMA InnovationのAIシステムとIoTを組み合わせれば、ほぼすべてが自動化され、大掛かりなデータ準備や、専門アナリストやプログラマーが不要となり、理想に近い結果を得ることができます。さらに、データは24時間365日リアルタイムでアップデートされ、調査や手作業集計で行われていた人手によるサンプリングシステムは不要になります。

また、そのコストの占める割合が大きいことから、導入方法もまた企業にとって懸案となっています。現在、集中処理とエッジ処理(ネットワークのエッジで処理)の2つの主要な導入方法があります。処理速度、計算能力、導入の簡易性、メンテナンス、システムアップデートの面で、それぞれメリットがあります。さらに、インフラ面では、ASUS IoTとインテル®がパイオニアとして、幅広いハードウェアソリューションやソフトウェアツールを提供しており、企業やエンドユーザーがアプリケーションをアイデア段階から導入に進めるまでのスピードアップに貢献しています。

本レポートでは、ASUS IoTとインテルのハードウェアに最適化されたOpenVINOツールを使用したカスタ・マートラフィック・アナリティクス・ソリューションを中心に紹介します。具体的なアプリケーションとしては、あるエリアにいる人のカウント、あるエリアに出入りする人のカウント、トラッキング、ヒートマップの作成などがあります。


II.テクニカルソリューション

カスタマートラフィックアナリティクスシステムでは、リアルタイムストリーミングプロトコル(RTSP)を通じて、ユーザーが複数のカメラを同時に監視することができます。その後、各画像データストリームは連続的に処理され、AI推論が実行されます。処理後、結果データは直接サーバーに送られ、ウェブインターフェイスに表示され、データリポジトリに保存されます。ユーザー設定に従って異常な違反が発生した場合、アラート信号がウェブシステムに直接送信されます。図2は、使用されているシステムの概要を示しています。

ASUS IoT Smart Retail using EBE-4U and OpenVINO system diagram from camera capturing data, processing and cloud management

画像2:システム概要

推論処理については、人物を認識するためのAIモデルを事前に学習させた上で、フォーマット変換と最適化を行い、同等の精度を維持しつつ専用ハードウェアでの処理速度を向上させるようにモデル構造を調整しています。その後、インテルが開発したオープンソースソフトウェアであるOpenVINO推論エンジンを基にしたモデルの推論が行われます。使用するハードウェアは、インテル Core i5-9500TE CPU @ 2.20GHZ x6を搭載したASUS IoT EBS-I10です。図3は、OpenVINOを使用してディープラーニングモデルを導入するプロセスの概要を示しています。

ASUS IoT Smart Retail deep learning model including get model, run model optimizer, run OpenVINO and user application

画像3:ディープラーニングモデルの導入プロセス

さらにOpenVINOは、人物、顔、乗り物などの物体検出や、性別認識、画像分類、行動認識、テキスト認識などの組込み済みのモデルをサポートしています。これらのモデルは最適化され、OpenVINOと互換性があるため、導入プロセスにおける時間と労力を大幅に節約できます。


III.達成結果

以下の項目は、人の流れを測定し、ヒートマップを作成する機能について説明した画像です。これらはTMA構築エリアにおいて利用され、統計、データ解析、管理の合理化、人員調整などの目的に用いられています。

People counting monitoring system backend image showing five people going inside building door and their images are captured and processed in different color

画像4:人数カウント監視画面

People entering/exiting counting system backend image showing one female going inside cafe door and another male is sitting outside cafe

画像5:入退場カウント機能

Heatmap display system backend system image showing red halo at door where most people gathered and light yellow halo inside building where two people standing

画像6:ヒートマップ表示機能

Comparison table of 4 AI models' parameters, including person detection, vehicle detection, face detection and license plate detection

表1:いくつかのAIモデルのパラメータ比較


IV.まとめ

ASUS IoTとインテルのハードウェアとソフトウェア両プラットフォームの包括的なインフラサポートは、スマートリテールの分野だけでなく、AIアプリケーションがすでにトレンドとなっている他の多くの分野においても、非常に有用なソリューションを提供しています。これにより、これらのソリューションを迅速に実行に移し、お客様や企業に導入することができます。ただし、市場の需要が日々増加し、要件がより複雑化する中で、状況に応じてモデルを継続的に改善し、処理速度を向上させ、システムの安定性を確保することが引き続き必要となっています。


TMA Innovation Companyについて
TMA Innovation Companyは、研究やグローバル企業へのソリューション提供において25年以上にわたって高い評価を得ている著名なTMA Technology Groupの活動的なメンバーです。TMA Solutionsの4,000人以上のエンジニアからなる強力なチームが、画期的なソリューションのために最先端技術の応用に取り組んでいます。インダストリー4.0テクノロジーに大規模な投資を行い、データサイエンス、人工知能(AI)、ビッグデータ、IoT、ブロックチェーンなどの最新の進歩を取り入れた革新的な製品は、国境を越えてお客様に提供されており、卓越性に専心する当社の姿勢を証明しています。

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